こちらでは、谷中界隈でこぼれた
日常の出来事をおすそ分けします.
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
1/5sat "知足という教え"
お正月の谷中は、毎年にぎわいをみせます.
その所以のひとつが、そう. "谷中七福神めぐり".
ぼくも2年振りにめぐることにしました.
途中、護国院の大黒天さまのところで、"知足"
(足るを知る)という教えとの出会いがありました.
これは中国の"老子"によっていて、"足るを知る"
とは、字句どおり、充分に満ち足りていることを知り、
不足感を持たない(欲を捨てる)ということ.
思えば、足りているのに買い求めてしまった、
という経験を持っていた僕.
いまの自分にとって、最も大切な教えであると
受け取ったのでした.
-------------------------------
12/29sat "まちなか交換所、再出発"
晴天.
気持ちがよかったので、引っ越し後初めておもてへ
椅子を出し、"まちなか交換所"をはじめました.
7丁目と比べるとまちゆくひとの数は少ない2丁目.
反応は...
夕方、散歩から戻ると2つのメッセージが記されていました.
("まちゆくひとへ"ページへ掲載)
2丁目坂上は"谷中らしくない"といわれているエリア.
しかし、この場所には以前から、直感的に、"良い気"
が流れていると感じていました.
ここで、chair-stories"まちなか交換所" も再出発.
日常の小さな奇跡が明日も訪れますように...
--------------------------------
11/25sun"引越祝いに檸檬の実"
本日、谷中2丁目に引っ越してきました.
9ヶ月ぶりの谷中生活.
これからまた、どうぞよろしくお願いします.
家具を運び入れている最中、2階にお住まいの
大家さんがお孫さんと外に.
そして、「よかったらどうぞ」と、立派な"檸檬の実"を
3つお裾分けいただきました.この檸檬の木、
大家さんが育てているようです.
嬉しい、嬉しい 引越祝いでした.
--------------------------------
10/21sun "いつの間にやら、深まる秋"
ずいぶんご無沙汰となってしまいました.
谷中を離れて8か月.仕事や活動に
動き回ってきました.
今年は、はじめて訪れたとき以来、参加企画を
めぐりにめぐった芸工展でした.
会期中、《明の窓/茶ノ間》へ2度程泊めていただき、
谷中の晩と早朝散歩を満喫.
1分でも1秒でもここへいたい.
気持ちはますます深まります.
物件、少し探しはじめてみたいと思います.
---------------------------------
---------------------------------
03/20tue"再会"
昼、スコーネさんから連絡をもらいました.
僕がお世話になったアパートの梅が花を咲かせた.
という報せ.
昨年11月に根元からばっさりと切られてしまって
いたので、内心諦めていたのに、「咲かせた?」
ちょうど近くまで来ていたので、半信半疑で、谷中
をめざします.
すると、本当に可愛らしげに花を咲かせていました.
そこからは可愛さとともに強さを感じさせた.
自分もそんな強さを持てるようになりたい.
久しぶりに、スコーネさんで時間を過ごすと、
そこへ"キツネのご夫妻"、さらに"ねこばやし"さん
がお見えになりました.
ねこばやしさんとは初対面のはずなのに、なんだか
懐かしく感じてしまいました.
みなさん、相変わらず元気!であることがとても嬉しく、
ほっとしました.そして最後にこう掛け合ったのでした.
「また会いましょう、谷中で...」
------------------------------------
02/12sun"さようなら"
今日、僕は谷中を離れます.
2年間、僕はずいぶんこのまちに、このまちに住む
ひとたちにお世話になりました.
覚悟はしていたつもりでしたが、いざ離れる日が
近づくと、とても寂しく、でも、この気持ちをどうする
こともできず、ただ、まちをてくてくと何度も歩いて
いました.
いまや外から様々な注目を集めるまち、谷中.
そこに住むひとたちは、ただ当たり前に、自然体で
生き続けている(きた)ことを知りました.
きっとここにいるひとたちは大事なモノが何か、
知っているのだと思います.
失ってはならないもの、守り続けていくべきもの.
僕もここへきて、大事なモノが何か、少しわかった
気がしています.離れても、それは持ち続けていたい.
そして、いつかまた、ここへ戻って来たいと
思っています.
本当に、本当に、お世話になりました.
-----------------------------------------------
01/11tue"谷中にいる"
ずいぶんと久しぶりになってしまいました.
今、僕は谷中にいます.
こうして二年の月日をここで過ごすと、
ここでの生活が当たり前に思えてきます.
・大家さんが古紙回収で交換した洗剤をくださること
・お隣さんからポトフをいただくこと
・クリーニング屋さんと世間話をすること
・お寺の奥さんが掃き掃除中に挨拶してくれること
・ねこがひょっこり現れて去っていくこと
・土日にわくわくした人達がやってくること
みんな特別なことなんだ.でもいつの間にか、
当たり前になってる.
そろそろ、関わり方をかえる時期なのかもしれない
と思うこのごろです.
今年も宜しくお願いします.
----------------------------------------
11/23wed"夕立"
こないだの日曜日のこと.
前日の大雨が止み、明るい空をみた僕は、
思わず、洗濯物を外に干して出掛けた.
夕方までは暖かく気持ちのいい日和だった
のに、のっそりと濃い雲がやってきて
雨を降らせた.
すると、お隣近所の鳥正さんから電話が入り、
「今すんごい雨、降ってきたよ、洗濯物
しまっておくね」
そういって、鳥正さんは僕の洗濯物を
屋根のある場所へ移してくれたのだった.
すっかり夜になってから帰った僕は、
鳥正さんにお礼を言いに行った.
「ごめんなさい、勝手なことして.
洗濯物を見つけたら体が動いちゃったのよ」
と鳥正さんは言っていた.
雨の中、他人の洗濯物を屋根のある場所へ
移すことなど、中々できないことだと思う.
そして、そのことを「やってあげた」と思う
わけでもないのである.
僕もいつか、鳥正さんのような人になりたい、
そう思った出来事でした.
-----------------------------------------
11/21mon"大家さんのお兄さんの自転車"
この夏、僕の自転車は姿を消しました.
まちを歩く度、「もしやあれは僕の自転車?」
と、道に止めてある自転車ばかりが目に
ついてしまいます.
そんな悩みを大家さんのお兄さんに話した
ときのことでした.(お兄さんは、近所にお住まい
で、私の部屋の隣に車を止めている関係で、
よく顔を合わせていました)
悩みを聞いたお兄さんは、「じゃあ、俺の
貸してやるよ、今ほとんど乗ってないから」
と言ってくれました.
思ってもみないやさしさに気が動転してしまい
ましたが、それからは時々お借りしています.
そして、自転車に乗る度、お兄さんのやさしさ
を思い出し、心がほっこりとするのでした.
-------------------------------------
11/13sun"はらっぱでやりたいこと"
最近、はらっぱのやりたいことがあります.
それは、ふとしたときに、頭をよぎり、
それからはしばらく、わくわくが止まりません.
詳しいことは実現が決まった折りに紹介します
が、それらにはいくつか共通点があります.
○お互いの何かを交換する
○訪れた人とのやり取りによってつくられる
○動く
○まるい < とんがり
○音が出る
○予測がつかない
○楽しい
○ちょっと変
○毎回新しいゲストがくる
まぁ、そんなところ...
タイミングが合って実現すると良いのですが.
とにかく. 面白い人と何か面白いことを
やりたい、そういう願望です.
-------------------------------------
11/8thu"魔法のことば"
今日は、仕事帰りに深せんに寄った.
充実した一日を過ごしたと思える時、
ちょっとした自分へのご褒美.
斬新なメニューはどれでも、身体も心も
十分に満たしてくれる. それに...
ここのお客さんはみんないい顔をしてる.
でも、ぼくが求めているのはきっと、
"魔法のことば"だろう.
それは、ちょっとこしょばゆくて、ついつい
照れてしまうのだけれど、間違いなく嬉しい.
"おやすみなさい."
いつか自分が何かの間違いで店を持つこと
があったら、ぜひ、言いたい一言である.
-------------------------------------
11/6sun"谷中・後藤のあめ"
今日、横浜みなとみらいで開催されていた
"新・港村"が最終日を迎えました.
クロージングパーティに参加する予定に
なっていたので、3ヶ月間お世話になった
お礼に、谷中の飴屋さんである
"後藤のあめ"を用意しました.
ひとつひとつ、千代紙でくるりと包み、
タジン鍋に入れてみる.するとなんだか
とても味わい深いものに仕上がりました.
決してお酒のつまみにはならなかった
かもしれないのだけれど、やさしい村民
の方々は喜んでくれて、楽しいひとときを
過ごすことができました.
てまひまをかけたものが、ひとの手に
渡っていく瞬間に見るそのひとの笑顔.
それがたまらなく心地よくて、また、
はじめてしまうのだと、作家さんの気持ち
が少しわかった今日でした.
-------------------------------------
10/23sun"わたしにとっての芸工展"
芸術の秋、今年も芸工展を通じてたくさんの
出会いがありました.ご参加くださった皆様、
ありがとうございます.
芸工展は、わたしにとって、谷中のまちとの
出会いそのものでした.
ガイドマップを頼りにお店や作家さん、まちの
ランドマークをめぐり、ときには道に迷ったりして、
住んでいるひとの親切な心づかいや、訪ねた
ひとを楽しませようと工夫とユーモアをこらした
作品たちに触れ、すっかり虜になったのでした.
来年で20周年を迎える芸工展は、今新しい扉を
開こうとしています.たとえ、今のあり方が変わった
としても、わたしにとっては、いつまでもずっと、
秋になれば、芸工展に思い出してまちを歩きたく
なるのでしょう.そして、何かおもしろいことをやろう
と触発されることでしょう.
そんな芸工展に心から、"ありがとう"と言いたい.
-------------------------------------
10/8sat"芸工展 はじまりました"
今日もとても良い出会いがありました.
あしたも晴れますように.
そして、みなさまにとって充実の日々と
なりますように.
-------------------------------------
09/29thu"スナップ写真"
近頃は、電気をつけたまま寝てしまうことが
多くなりました.気持ちはまだまだ起きていたいのに、
思っているより、体は疲れを感じているらしいのです.
人間は、"頭の意志"と"体の意思"がばらばら.
スナップ写真を撮っているとき、そう感じることがしばしば
あります.
人は、たいていの場合、"頭の意志"で写真を撮る.
フレームを意識した末に撮る写真はいい.安定感がある.
けれどそのスピードでは、写せない瞬間があることもまた確か.
体が発した意思のままにシャッターを切るからこそ、
見えてくる世界があります.
スナップカメラマンの巨匠、森山大道さんを知ったのは、
恥ずかしながら、昨年のこと...
彼の写真をみて、彼と写真との関わり方を知って、
いま、もう一度、写真と向き合いたいと思います.
-------------------------------------
08/19fri"おれは、ツボミのほうが好きだけんどな"
久しぶりに早朝に目が覚めた.
朝になりかけていたので、外で歯磨きをしていると、
向うから大家さんのお兄さんが歩いてきた.
お兄さんは、もっと朝早くからまちを散歩しているそう.
「こう、昼間が暑いと、年寄りにはかなわんからな」
そして、不忍池の蓮が、よく咲いていることを教えてくれた.
AM5:05. ぼくは早速、支度をして出かけた.
池の畔にはたくさんの人がそれぞれに自分の時間を
過ごしていて、蓮たちはそれには構わず、空を見ていた.
あるおじさんが、「こっちにいいのがあるぞ」、
「そっちからは見えなかったろ」と優しく教えてくれた.
確かに.おじさんの言うとおり.
満開の蓮もいいけれど、ツボミは一段と愛らしく思えた.
-------------------------------------
08/18thu"なかなかできないことだわよ"
近頃、朝起きてからの花壇の水やりが日課になった.
今日も暑くなりそうだったので、たっぷりあげよう.と
ホースを手にすると、お向かいの観音寺から、下駄の音.
お寺の奥さんが掃き掃除をしに現れた.
「おはよう、いやぁ、朝早くからご苦労さん」.
谷中のまちが綺麗なのは、こういった方たちのやさしさ
があるからだと、ふと思った.
それから、しばらくの間、一方通行の6m道路をまたいで、
ことばの掛け合いがはじまった.
ときに間を通り抜ける車に途切れたりした.
けれど、なんだかそのぎりぎりの距離感がとても.
心地よかった.
--------------------------
08/13sat"恵み"
花壇の手入れをしてから一週間が過ぎた.
一度、自分の手が加わった花壇は、以前に増して
気にかかる存在である.
今日も朝起きると、一番に水をやった.
すると、隣の鳥正の奥さんと「おはよう」.
自転車で通りかかったスコーネさんとも「おはよう」.
なんだか、偶然の恵みをもらったようで嬉しかった.
--------------------------
08/11thu"まちなか交換所の雨バージョン考えてください"
先日twitterにて 谷中のきつねさんから、このような
メッセージをいただいた.
それは、自分でもどうしようかと考えていることだった.
"雨の日散歩"も楽しんでもらいたいから.
考えます.もうしばらく、お待ちください.
何かよいアイディアあれば教えてくださいね.
-------------------------
08/06sat"花壇の手入れ"
今日、沖縄行の便が欠航になった.
沖縄本島に巨大台風が接近中で、
着陸の困難が予想されるためである.
急きょ時間がとれたので、以前から気になって
いた、アパート前の花壇の手入れを行った.
大家さんの奥さんに相談すると、
「もうすぐお祭りでしょう.みっともないから、
社会福祉協議会の人にお願いしようと思って
たのよ.」とのこと.
早速、大家さんのお兄さんに、道具を借り、
とりかかった.
頭をひねりながら、枝をきる.きる.
祖母の手にかかれば、ひょいっと上手に
できてしまうが、実際自分でやると難しい.
それでも、「おお、よくできたじゃないか、
助かるよ」とお兄さん.片づけを手伝ってくれた.
以前よりもずっとすっきりし、樹花達もほっと
している様子だった.
----------------------------
07/31sun"おまけ"
谷中土産を.と谷中せんべいさんへ.
4種、全部で24枚買った.すると、
"いつもありがとう.これ、少しかけちゃった
やつだけど、よかったらおやつにどうぞ、
あぁ、もうおやつの時間過ぎちゃったかしら..."
と、おまけしてもらった.
ぼくは、いつも以上に気持ちよく御殿坂をくだった.
----------------------------
07/30sat"日暮里駅→鷹匠"
芸工展実行委員の有志でまちをあるく.
各々に思いの詰まったガイドマップを手に.
場所場所で、昔の出来事を語り合い、
愉快でたのしい時間となった.
まちあるきの最終地点であった、手打ち蕎麦
の店 鷹匠さんでは、美味なお蕎麦をいただいた.
それにしても...
路地や寺の抜け道など、知っていた道ばかり
だったせいか、少し物足りなさを感じていた.
それから「物足りなかったのは、場所場所で"ひと"
と交わる機会がなかったから」と数日経って気付いた.
きっとそうなのだ.
ぼくの、このまちの好きなところの大部分は、"ひと"...
そのことに改めて気付けた.よかった.
-----------------------------
07/10sun"はらっぱでアクネノブヤさんと"
今日は、暑い暑い一日でした.
そんな日は、気が付くと三線を弾いています.
紹介が遅くなりましたが、アパートから徒歩1分
のところに、"貸しはらっぱ"があります.
"ギャラリーではできない、新しい表現の場として、皆さんの
アイデアでご活用ください"
と魅力的な場で、よく寄らせていただいています.
今日は、写真市場の日.
午後、写真家のアクネノブヤさんとお話する機会に
恵まれました.
"カメラは首から下げていてはダメ.いつも右手に持つ
ようにする.撮ろうと思った気持ちは一瞬だから"
"カメラはもともと記録するための道具. だけど、それは難しい.
20世紀前後の失われる古きパリのイメージを撮影したことで
知られる写真家アジェ(Jean-Eugène Atget,1857-1927)は、
目覚めの刻にまちを歩き、粘り強くパリの風景を記録し続けた.
他には、ウォーカー・エバンスの記録写真.一度調べてみるといい"
人との出会いを経て、写真の世界が少しずつ広がっていく.
それを、実感する日々であります.
■アジェ・フォト
--------------------------------
06/19sun"本行寺の柏葉あじさい"
日暮里駅の北口改札を抜けて、御殿坂を上ると、
右手に本行寺が迎えてくれる.
緑いっぱいの美しいお寺さん.そのなかで、一段と
目を惹かれてしまったお花があった.
「それは、"柏葉あじさい"っていうんだよ.ほら、
葉っぱがかしわの葉にそっくりだろう.いい色だ.」
寺のお世話係のおばぁが、そう教えてくれた.
言われてから再び葉を眺めると、確かに、かしわの葉が重なる.
ほら. また、かしわ餅が食べたくなってきた.
-------------------------------
06/18Sat"まちとひととが作りだす色気"
夕方雨が降ってきた.
雨が降ると、きまってRe Cafeさんに足が向く.
(ほっと一息ついて、気分を変えたいと思うからなのか...)
"ハーブティお疲れ様ブレンド"と"自家製のケーキ"を
雑誌を片手にいただいた.
隣では、おしゃれなおじさんとその娘さんくらいの歳の
女性が何やら楽しそうにお酒を飲んでいた.
その楽しい空気は周りにこぼれてきて、いつの間にか、
僕も仲間入りして、あれこれ話が盛り上がっていく.
ふたりは町屋の方にお住まいで、谷中にはよく散歩に来る
のだという.僕はすかさず、「谷中のどんなところがいいのか」
尋ねてみる.
「谷中は、自分の家の中にいるみたいでしょ.まちとひととが
作りだす空気感に色気があるんだよ.それは店をやっている
ひとがこのまちで生活してたり、街並を大事に守っているひと
がいるからだろう.」という言葉が返ってきた.
しまいにはおいしいサングリアをごちそうになってしまった.
「またいつかどこかで.」不思議とそんな気持ちになり、
僕はRe Cafeを後にした.
--------------------------------
06/18Sat"良い交換ができるといいですね"
今日はお昼に"筆やさん"の夏野菜たっぷりカレーをいただいた.
何気ない会話から、最近"まちなか交換所"をはじめたことを
話すと、「あら、おもしろいことやっているねぇ」とマスター.
つい調子に乗って、これまでのエピソードを語ってしまった.
帰りがけにいただいた一言.
それはタイトルにしてしまうほど嬉しいものでした.
--------------------------------
06/17Fri"谷中のきつね"ご夫妻
お二人とは、昨年の芸工展で知り合いになった.
"谷中のきつね"ご夫妻は、文字どおり、
谷中のまちをきつねのしっぽをつけてあるいている.
毎週土曜日に電車に乗ってやってくる.
あるときは、道でばったり.
また、あるときはchair-stories shopへ立ち寄ってくれる.
そして、まちなか交換所にすてきな詩(ことば遊び)を届けてくれる.
1)すずめ 鈴集 寿々愛
2)満会の百々の花
3)谷中のきつね ⇒家中喜常(日常の何気ない幸せ)
最近はポストを開けるのがすっかり楽しみになりました.
--------------------------------
05/29Sun"双葉"
今日もたくさんの雨が降った.
雨の日は、洗濯物も外にほせないし、
お店も早く閉まってしまう.
とある用事で訪ねたアジアン雑貨屋フェブさん.
「報告があるわよ」
そういって見せてくれたのは、お店の外にあった鉢.
4月に祖母手づくりのまちの木霊(朝顔の種袋)を
お裾分けしていたのだが、その種から芽が出て、
かわいらしい双葉になっていた.
"双葉"は自然のしずくを身にまとい、なんだかとても
やさしい顔をしていた.
もしかしたら昔の出来事を聞く機会となるかもしれないと、
おそるおそる戸を開いた.
そのお店は、吉崎誠美堂といって今は閉めているが、
昔は、着物に絵を入れる人達に対して絵の具の顔料を
提供していたという.
「昔、雑誌谷根千をここで販売していたのよ」
家主のおばぁさんは得意になって話す.
僕が興味を示している様子を察されたのか、
「ここに並んでいる号だけだけど、気にいったものがあれば、
100円でも200円でもいいから持っておゆき.読みたい人に
読んでもらいたいから、ここに並べて出してあるの」
僕はそのうち、3冊頂くことにした.
吉崎さんは嬉しそうに見送ってくれた.
--------------------------------
04/17Sun"交換しましょ"
先日、心あたたまる出来事がありました.
団子坂の途中にある"檸檬の実"というお店.
古民家のあたたかさを上手に残したその空間には
おいしさがからだの芯まで届くパンやキッシュたちが並んでいます.
色々とお店のことを教えてもらった代わりに
たまたま持っていた、まちの物語のポストカードをお見せしました.
店主さんはその中から三枚手に取って「いいね、これおいくら?」って聞く.
ぼくは「売っていないんです.よかったら差し上げます」と言う.
すると、店主さんは少し考えて「それじゃあ、わたしのパンと交換しましょ.」と.
そんな調子で僕らはポストカードとパンを交換したのでした.
お店を出たとき、何とも言い表せないやさしさが込み上げてきました.
そうした時間は、思い出す度、心がほくほくになります.
---------------------------------------
04/09Sat"春の明日、描く"
あっという間に4月がきました.
毎年のことですが,年度末は慌ただしくすぎてゆきます.
先日、春を探しに不忍池へいったときのことです.
ところどころに春(桜)は咲いていましたが、
まだこれからといった様子.
写真を撮っても今ひとつでした.
池端には桜の木、後ろにはスカイツリーを眺められる場所に
一人の絵描きさんがいました.
私はそっと絵を覗き込みます.
すると、そこには満開の桜.やさしい絵でした.
実物はまだ一分咲き.この絵描きさんは春の明日を描いていたのです.
「花がないんじゃあ、さみしいかんね」
たとえ事実と違っても、その絵描きさんの眼には
満開の桜がうつっていたのだと、そう思うできごとでした.
---------------------------------------
03/19Sat"カメラ発明の日"
1839年3月19日.
フランス人の写真研究家ルイ・ジャック・マンデ・ダゲールら
の手により、カメラ(銀板写真)は発明された.
いま、カメラはぼくとまちとを結ぶ大切な道具だ.
今日は、ある場所に提出した写真集"Y-7"の紹介文を記したい.
"谷中のまちの何かに惹かれ、ここに住み始める.
その惹かれるものを確かめるため、カメラを手にまちの路地を歩く.
そして、通い合ったものに、私はカメラを向ける.
その正体は、私の心を写しとった何かか.
それとも、被写体そのものが発信してくる詩情なのだろうか.
それを確かめうるのは、ずっと先のことだろう.
私は、それを追いながら、この作業を続けてゆく."
-------------------------------
03/14Mon"ぼくにできること"
平成23年3月11日.
東北地方太平洋沖地震がおこった.
谷中のまちでは、家の一部やお墓が倒れているのを
みかけた.また、これからに備えてか、おにぎりやパン等
の食糧や電池などがまちの店棚からすっかりと消えた.
震源地では余震により、今もなお被害は広がっている.
被害地のことを思うと涙があふれでる.
ぼくはどうしたらいいのかわからずにいたが、
自分自身にできる目の前のことを一つ一つやる.
それしかないのだと思っている.
どうか、お祈りが届きますように.
-----------------------------
03/10Feb"(フェブ)さんのやさしさ"
もう先々週のこと.
僕は丁度よい箱を探し歩いていた.
何軒か店を回ったが中々見つからず、
最後にFebさん(谷中せんべいや裏)を訪れた.
「そうねぇ、今あるのはどうぶつモチーフの革製の
ものだわね」
とても素敵だったが、もう少しシンプルなものを
求めていたことやあれこれ、話をしていると、
「ちょっと待ってて」とFebさんは二階へ上がった.
持ってきて見せてくれたのは、アルミ製の箱、
「前は店においていたけど雰囲気にはあわないから」
と僕に譲ってくれた.
帰りがけ、手作りのショップカードに目がとまる.
アフリカ産の紙に、かわいらしいデザインが映える.
その紙に興味を示した僕に、「よかったら」と紙を譲ってくれた.
谷中のまちでは時々、こういった"やさしさ"にふれることがある.
だから、いつか僕も誰かに、そうできるようになりたいと
自然に思うようになったのだと思う.
-------------------------
03/03"筆やさんにある絵"
とある雨の日.
雑誌谷根千を読んでいたら、"筆や"さんの広告が
目に飛び込んできた.ちょうど昼時でお腹も鳴いていた
ので、傘をさし、店へと向かった.
たどり着いたきっかけをこぼすと、奥さんは嬉しそうに微笑んだ.
「今日はじめてのお客さん.足元悪いのにありがとうね」
そういって、店主の奥さんは、ごはん大盛りにしてくれた.
店内の奥の壁には、恋文入りのやさしい絵がかかっている.
奥さんは、芸術家岡本太郎さんの父、岡本一平さんの作品だと
教えてくれた.
みているこちらのこころがほっとする恋文入りの絵.
近くにいらした際はぜひお寄りください.
----------------------
03/03/"救い"
一昨日、突然の出来事を紹介したところ、
今日、救いの手が...
Yさん本当に感謝しております.
------------------------
03/01tue"突然のこと"
先日、"谷中出来事"を書いていたところ、
いくつかの出来事が空へ旅立ってしまいました.
突然のことで2,3日残念がって立ち止まっていたのですが、
また事が起こり、書きたいことが湧いてくる.
なので進めていきたいと考えています.
それにしても、以前書いたことがよく思い返せません.
気持ちは生き物だなあと感じます.
------------------------
02/25Fri "Re+Cafeでの出会い"
先週、谷中銀座の一本中道にある"Re+Cafe"を訪ねた.
店内はアンティークな家具や洋服がやさしい時を刻む.
他のテーブルでは、客が海外からの仕入れ方法等を
店主に相談していた. 僕はハーブティーを注文した.
"カラン"と戸が開く.「あ、カナブン」と店主が名を呼んだ.
今度店で行われるライブの打ち合わせのようだ.
僕は本を読みながら楽しいリズムの会話に時々おじゃました.
仕事の話から写真や音楽の話に広がり、カナブンと呼ばれた
そのひとは、こんなことを言った.
"写真って好きだな、撮るたび自分が変わってく、
更新されていく感じがする"
撮るたび、自分は更新されていく. きっとそれは真実だ.
だから、今の自分が撮るもの、撮ろうと思ったものも大切に.
例えそれが、下手糞でどうしようもないものであっても...
≪SOUL PARTY≫
カナブンさん*ライブ&土屋萌児さん*切り絵アニメーション
【日時】2011.2.25(Fri)19:00~
【場所】Re+Cafe
【HP】http://blog.livedoor.jp/recafe_yanaka/
----------------------
02/22Tue"つないだもの"
この間の雪が降った翌朝.
道には大方白が広がっていた.
だから駅までの道のりで白と遊んだ.
須藤公園では、しずくがぽたぽた池に
飛び込むたび、水面は静かに揺れていた.
ふと、前をみると、、、
自分より少し年上の女性が楽しそうに作業をしている.
そう、"雪だるま"制作である.
「それ、写真を撮ってもいいですか」と、勇気を出して尋ねた僕.
「こんなでよかったらどうぞ」と、恥ずかしがって答えるその方.
雪だるま-カメラは、そのとき、
確かに何かをつないだ.
-------------------------
02/19sat"ドアノブ-コミュニケーション"
少し前のこと...
同じアパートに住んでいる人に色々世話になった
お礼がしたくて、贈り物を準備した.
渡そうとしていたその日はあいにくの留守.
次はいつ時間を作れるかわからない.
無事届けられるのか不安もあったけれど、
思い切ってドアノブに助けを求めぶらさげておく.
後日、仕事から戻ると今度は、自分の部屋の
ドアノブに贈り物がぶらり.
中には手紙とケーキサクのマドレーヌ.
doorを開けることが務めであるドアノブに
最近はとても親しみを感じるようになった僕.
あたたかい気持ちを運んでくれたドアノブさん.
どうもありがと.
-------------------------
02/17thu"今日で谷中に引っ越して一年"
このアパートと出会って.
芸工展を通してまちの人とつながって.
じいちゃん、ばあちゃん、家族、友人に支えられて.
いま、自分なりの表現を少しずつ深めています.
自分が求めた方向へ物事は動く.
これからの一年はとことん、求め歩きたいと思います.
-------------------------
02/14mon"頂き物の切り絵のカレンダー"
昨年の暮れの事.
天気の良い土曜日.ベランダで洗濯機を回していると、
近所のおばちゃんがやってきて、さっと、カレンダーを
僕に差し出した.
"これ、娘の作品なの. よかったら使って"
あまりにも突然だったので、きちんとお礼もできず2カ月が
経とうとしていた.
そのカレンダーは、切り絵の作品をまとめたもので、
かわいらしい動物の絵をモチーフとした癒しのカレンダーだ.
お礼をしたいけれど、きちんと名前を知っている訳でなく、
どこを訪ねればよいのかわからず、偶然の再会を待った.
そして、つい先日、その時は訪れた.
朝、ごみ出し場にその方らしき人.僕は声をかけてみる.
"暮れにカレンダー頂きました.その節は有難うございました"
そう伝えると、その方は、嬉しそうに笑った.
"あのカレンダー、本当は切り絵になってるの.よかったら、
実物がちょうど玄関にあるから見にいらっしゃい.来て."
と言いながら走った.後に続くと、母の誕生日を祝う作品が
あたたかい光で包まれていた.
その切り絵作家 森田さんの活躍は、後にホームページで知った.
こういった不思議な縁が、このまちではときどき現れる.
それをどこまで大事にできるか.それは大きく人生を変えうると僕は思う.
■切り絵イラストレーター:森田直子さん
HP:http://homepage3.nifty.com/naonao-net/
-------------------------
02/11fri "大圓寺の渡辺さん"
雪に連れられ、まちへ出る.
普段は入らないお寺さんに挨拶へ.
いくらか寺を訪ね、最後に"菊まつり"で知られる
大圓寺へ足を向けた.
入ったのは初めてで、ついつい奥の方へ進むと...
「その先はご遠慮願います」と優しい声が聞こえた.
もう10数年管理人をつとめる渡辺さんは、僕が煉瓦塀に
興味を持っていることを話すと、事務所へ案内してくれた.
ごそごそと箱の中から取りだされたのは、"雑誌 谷根千".
渡辺さんは自慢げに「煉瓦特集の号がある」とみせてくれた.
それから...話は膨らみ、10年程前、ある写真家が訪ねて来た
ときの話をしてくれた.その写真家は渡辺さんを寺のあちこちで
撮影し、「いい、いいのが撮れた」と言っていたそうだ.
その写真家の名は、"荒木経惟(愛称アラーキー)".
それはやがて「人町」という写真集の1ページを飾った.
-------------------------
02/01mon"あこがれの美容室へ"
2年と半年前.はじめて谷中を訪れたときに出会った
お洒落な美容室."いつか谷中に住む機会があったら
いこう"と心に決めていた.
そして先日、ついにその戸を開いた.
"サユリ美容室"は、昭和の面影を残し、懐かしい風、
あたたかい陽気が感じられる場所.一軒家の軒先を
通るときには、赤鯉と目があう.
しかしはじめて尋ねるのはどうも勇気がいる訳だが.
美容師のおばちゃんは快く受け入れてくれた.
丁寧にカットしてくれたし、様々なまちの話が飛び出した.
帰りがけ、入口にアップライトピアノ♪があることに気づく.
その様子をみて"よかったら弾いていき."とおばちゃんは
優しく添えた.
また、あの場所へ行ってしまうと思う.
懐しいと風とあたたかい陽気を求めて...
■サユリ美容室 (tel:03-3821-4124)
address:荒川区西日暮里3-10-3
cut:3,500yen
-------------------------
01/17mon."偶然と必然"日常の出来事をおすそ分けします.
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
1/5sat "知足という教え"
お正月の谷中は、毎年にぎわいをみせます.
その所以のひとつが、そう. "谷中七福神めぐり".
ぼくも2年振りにめぐることにしました.
途中、護国院の大黒天さまのところで、"知足"
(足るを知る)という教えとの出会いがありました.
これは中国の"老子"によっていて、"足るを知る"
とは、字句どおり、充分に満ち足りていることを知り、
不足感を持たない(欲を捨てる)ということ.
思えば、足りているのに買い求めてしまった、
という経験を持っていた僕.
いまの自分にとって、最も大切な教えであると
受け取ったのでした.
-------------------------------
12/29sat "まちなか交換所、再出発"
晴天.
気持ちがよかったので、引っ越し後初めておもてへ
椅子を出し、"まちなか交換所"をはじめました.
7丁目と比べるとまちゆくひとの数は少ない2丁目.
反応は...
夕方、散歩から戻ると2つのメッセージが記されていました.
("まちゆくひとへ"ページへ掲載)
2丁目坂上は"谷中らしくない"といわれているエリア.
しかし、この場所には以前から、直感的に、"良い気"
が流れていると感じていました.
ここで、chair-stories"まちなか交換所" も再出発.
日常の小さな奇跡が明日も訪れますように...
--------------------------------
11/25sun"引越祝いに檸檬の実"
本日、谷中2丁目に引っ越してきました.
9ヶ月ぶりの谷中生活.
これからまた、どうぞよろしくお願いします.
家具を運び入れている最中、2階にお住まいの
大家さんがお孫さんと外に.
そして、「よかったらどうぞ」と、立派な"檸檬の実"を
3つお裾分けいただきました.この檸檬の木、
大家さんが育てているようです.
嬉しい、嬉しい 引越祝いでした.
--------------------------------
10/21sun "いつの間にやら、深まる秋"
ずいぶんご無沙汰となってしまいました.
谷中を離れて8か月.仕事や活動に
動き回ってきました.
今年は、はじめて訪れたとき以来、参加企画を
めぐりにめぐった芸工展でした.
会期中、《明の窓/茶ノ間》へ2度程泊めていただき、
谷中の晩と早朝散歩を満喫.
1分でも1秒でもここへいたい.
気持ちはますます深まります.
物件、少し探しはじめてみたいと思います.
---------------------------------
---------------------------------
03/20tue"再会"
昼、スコーネさんから連絡をもらいました.
僕がお世話になったアパートの梅が花を咲かせた.
という報せ.
昨年11月に根元からばっさりと切られてしまって
いたので、内心諦めていたのに、「咲かせた?」
ちょうど近くまで来ていたので、半信半疑で、谷中
をめざします.
すると、本当に可愛らしげに花を咲かせていました.
そこからは可愛さとともに強さを感じさせた.
自分もそんな強さを持てるようになりたい.
久しぶりに、スコーネさんで時間を過ごすと、
そこへ"キツネのご夫妻"、さらに"ねこばやし"さん
がお見えになりました.
ねこばやしさんとは初対面のはずなのに、なんだか
懐かしく感じてしまいました.
みなさん、相変わらず元気!であることがとても嬉しく、
ほっとしました.そして最後にこう掛け合ったのでした.
「また会いましょう、谷中で...」
------------------------------------
02/12sun"さようなら"
今日、僕は谷中を離れます.
2年間、僕はずいぶんこのまちに、このまちに住む
ひとたちにお世話になりました.
覚悟はしていたつもりでしたが、いざ離れる日が
近づくと、とても寂しく、でも、この気持ちをどうする
こともできず、ただ、まちをてくてくと何度も歩いて
いました.
いまや外から様々な注目を集めるまち、谷中.
そこに住むひとたちは、ただ当たり前に、自然体で
生き続けている(きた)ことを知りました.
きっとここにいるひとたちは大事なモノが何か、
知っているのだと思います.
失ってはならないもの、守り続けていくべきもの.
僕もここへきて、大事なモノが何か、少しわかった
気がしています.離れても、それは持ち続けていたい.
そして、いつかまた、ここへ戻って来たいと
思っています.
本当に、本当に、お世話になりました.
-----------------------------------------------
01/11tue"谷中にいる"
ずいぶんと久しぶりになってしまいました.
今、僕は谷中にいます.
こうして二年の月日をここで過ごすと、
ここでの生活が当たり前に思えてきます.
・大家さんが古紙回収で交換した洗剤をくださること
・お隣さんからポトフをいただくこと
・クリーニング屋さんと世間話をすること
・お寺の奥さんが掃き掃除中に挨拶してくれること
・ねこがひょっこり現れて去っていくこと
・土日にわくわくした人達がやってくること
みんな特別なことなんだ.でもいつの間にか、
当たり前になってる.
そろそろ、関わり方をかえる時期なのかもしれない
と思うこのごろです.
今年も宜しくお願いします.
----------------------------------------
11/23wed"夕立"
こないだの日曜日のこと.
前日の大雨が止み、明るい空をみた僕は、
思わず、洗濯物を外に干して出掛けた.
夕方までは暖かく気持ちのいい日和だった
のに、のっそりと濃い雲がやってきて
雨を降らせた.
すると、お隣近所の鳥正さんから電話が入り、
「今すんごい雨、降ってきたよ、洗濯物
しまっておくね」
そういって、鳥正さんは僕の洗濯物を
屋根のある場所へ移してくれたのだった.
すっかり夜になってから帰った僕は、
鳥正さんにお礼を言いに行った.
「ごめんなさい、勝手なことして.
洗濯物を見つけたら体が動いちゃったのよ」
と鳥正さんは言っていた.
雨の中、他人の洗濯物を屋根のある場所へ
移すことなど、中々できないことだと思う.
そして、そのことを「やってあげた」と思う
わけでもないのである.
僕もいつか、鳥正さんのような人になりたい、
そう思った出来事でした.
-----------------------------------------
11/21mon"大家さんのお兄さんの自転車"
この夏、僕の自転車は姿を消しました.
まちを歩く度、「もしやあれは僕の自転車?」
と、道に止めてある自転車ばかりが目に
ついてしまいます.
そんな悩みを大家さんのお兄さんに話した
ときのことでした.(お兄さんは、近所にお住まい
で、私の部屋の隣に車を止めている関係で、
よく顔を合わせていました)
悩みを聞いたお兄さんは、「じゃあ、俺の
貸してやるよ、今ほとんど乗ってないから」
と言ってくれました.
思ってもみないやさしさに気が動転してしまい
ましたが、それからは時々お借りしています.
そして、自転車に乗る度、お兄さんのやさしさ
を思い出し、心がほっこりとするのでした.
-------------------------------------
11/13sun"はらっぱでやりたいこと"
最近、はらっぱのやりたいことがあります.
それは、ふとしたときに、頭をよぎり、
それからはしばらく、わくわくが止まりません.
詳しいことは実現が決まった折りに紹介します
が、それらにはいくつか共通点があります.
○お互いの何かを交換する
○訪れた人とのやり取りによってつくられる
○動く
○まるい < とんがり
○音が出る
○予測がつかない
○楽しい
○ちょっと変
○毎回新しいゲストがくる
まぁ、そんなところ...
タイミングが合って実現すると良いのですが.
とにかく. 面白い人と何か面白いことを
やりたい、そういう願望です.
-------------------------------------
11/8thu"魔法のことば"
今日は、仕事帰りに深せんに寄った.
充実した一日を過ごしたと思える時、
ちょっとした自分へのご褒美.
斬新なメニューはどれでも、身体も心も
十分に満たしてくれる. それに...
ここのお客さんはみんないい顔をしてる.
でも、ぼくが求めているのはきっと、
"魔法のことば"だろう.
それは、ちょっとこしょばゆくて、ついつい
照れてしまうのだけれど、間違いなく嬉しい.
"おやすみなさい."
いつか自分が何かの間違いで店を持つこと
があったら、ぜひ、言いたい一言である.
-------------------------------------
11/6sun"谷中・後藤のあめ"
今日、横浜みなとみらいで開催されていた
"新・港村"が最終日を迎えました.
クロージングパーティに参加する予定に
なっていたので、3ヶ月間お世話になった
お礼に、谷中の飴屋さんである
"後藤のあめ"を用意しました.
ひとつひとつ、千代紙でくるりと包み、
タジン鍋に入れてみる.するとなんだか
とても味わい深いものに仕上がりました.
決してお酒のつまみにはならなかった
かもしれないのだけれど、やさしい村民
の方々は喜んでくれて、楽しいひとときを
過ごすことができました.
てまひまをかけたものが、ひとの手に
渡っていく瞬間に見るそのひとの笑顔.
それがたまらなく心地よくて、また、
はじめてしまうのだと、作家さんの気持ち
が少しわかった今日でした.
-------------------------------------
10/23sun"わたしにとっての芸工展"
芸術の秋、今年も芸工展を通じてたくさんの
出会いがありました.ご参加くださった皆様、
ありがとうございます.
芸工展は、わたしにとって、谷中のまちとの
出会いそのものでした.
ガイドマップを頼りにお店や作家さん、まちの
ランドマークをめぐり、ときには道に迷ったりして、
住んでいるひとの親切な心づかいや、訪ねた
ひとを楽しませようと工夫とユーモアをこらした
作品たちに触れ、すっかり虜になったのでした.
来年で20周年を迎える芸工展は、今新しい扉を
開こうとしています.たとえ、今のあり方が変わった
としても、わたしにとっては、いつまでもずっと、
秋になれば、芸工展に思い出してまちを歩きたく
なるのでしょう.そして、何かおもしろいことをやろう
と触発されることでしょう.
そんな芸工展に心から、"ありがとう"と言いたい.
-------------------------------------
10/8sat"芸工展 はじまりました"
今日もとても良い出会いがありました.
あしたも晴れますように.
そして、みなさまにとって充実の日々と
なりますように.
-------------------------------------
09/29thu"スナップ写真"
近頃は、電気をつけたまま寝てしまうことが
多くなりました.気持ちはまだまだ起きていたいのに、
思っているより、体は疲れを感じているらしいのです.
人間は、"頭の意志"と"体の意思"がばらばら.
スナップ写真を撮っているとき、そう感じることがしばしば
あります.
人は、たいていの場合、"頭の意志"で写真を撮る.
フレームを意識した末に撮る写真はいい.安定感がある.
けれどそのスピードでは、写せない瞬間があることもまた確か.
体が発した意思のままにシャッターを切るからこそ、
見えてくる世界があります.
スナップカメラマンの巨匠、森山大道さんを知ったのは、
恥ずかしながら、昨年のこと...
彼の写真をみて、彼と写真との関わり方を知って、
いま、もう一度、写真と向き合いたいと思います.
-------------------------------------
08/19fri"おれは、ツボミのほうが好きだけんどな"
久しぶりに早朝に目が覚めた.
朝になりかけていたので、外で歯磨きをしていると、
向うから大家さんのお兄さんが歩いてきた.
お兄さんは、もっと朝早くからまちを散歩しているそう.
「こう、昼間が暑いと、年寄りにはかなわんからな」
そして、不忍池の蓮が、よく咲いていることを教えてくれた.
AM5:05. ぼくは早速、支度をして出かけた.
池の畔にはたくさんの人がそれぞれに自分の時間を
過ごしていて、蓮たちはそれには構わず、空を見ていた.
あるおじさんが、「こっちにいいのがあるぞ」、
「そっちからは見えなかったろ」と優しく教えてくれた.
確かに.おじさんの言うとおり.
満開の蓮もいいけれど、ツボミは一段と愛らしく思えた.
-------------------------------------
08/18thu"なかなかできないことだわよ"
近頃、朝起きてからの花壇の水やりが日課になった.
今日も暑くなりそうだったので、たっぷりあげよう.と
ホースを手にすると、お向かいの観音寺から、下駄の音.
お寺の奥さんが掃き掃除をしに現れた.
「おはよう、いやぁ、朝早くからご苦労さん」.
谷中のまちが綺麗なのは、こういった方たちのやさしさ
があるからだと、ふと思った.
それから、しばらくの間、一方通行の6m道路をまたいで、
ことばの掛け合いがはじまった.
ときに間を通り抜ける車に途切れたりした.
けれど、なんだかそのぎりぎりの距離感がとても.
心地よかった.
--------------------------
08/13sat"恵み"
花壇の手入れをしてから一週間が過ぎた.
一度、自分の手が加わった花壇は、以前に増して
気にかかる存在である.
今日も朝起きると、一番に水をやった.
すると、隣の鳥正の奥さんと「おはよう」.
自転車で通りかかったスコーネさんとも「おはよう」.
なんだか、偶然の恵みをもらったようで嬉しかった.
--------------------------
08/11thu"まちなか交換所の雨バージョン考えてください"
先日twitterにて 谷中のきつねさんから、このような
メッセージをいただいた.
それは、自分でもどうしようかと考えていることだった.
"雨の日散歩"も楽しんでもらいたいから.
考えます.もうしばらく、お待ちください.
何かよいアイディアあれば教えてくださいね.
-------------------------
08/06sat"花壇の手入れ"
今日、沖縄行の便が欠航になった.
沖縄本島に巨大台風が接近中で、
着陸の困難が予想されるためである.
急きょ時間がとれたので、以前から気になって
いた、アパート前の花壇の手入れを行った.
大家さんの奥さんに相談すると、
「もうすぐお祭りでしょう.みっともないから、
社会福祉協議会の人にお願いしようと思って
たのよ.」とのこと.
早速、大家さんのお兄さんに、道具を借り、
とりかかった.
頭をひねりながら、枝をきる.きる.
祖母の手にかかれば、ひょいっと上手に
できてしまうが、実際自分でやると難しい.
それでも、「おお、よくできたじゃないか、
助かるよ」とお兄さん.片づけを手伝ってくれた.
以前よりもずっとすっきりし、樹花達もほっと
している様子だった.
----------------------------
07/31sun"おまけ"
谷中土産を.と谷中せんべいさんへ.
4種、全部で24枚買った.すると、
"いつもありがとう.これ、少しかけちゃった
やつだけど、よかったらおやつにどうぞ、
あぁ、もうおやつの時間過ぎちゃったかしら..."
と、おまけしてもらった.
ぼくは、いつも以上に気持ちよく御殿坂をくだった.
----------------------------
07/30sat"日暮里駅→鷹匠"
芸工展実行委員の有志でまちをあるく.
各々に思いの詰まったガイドマップを手に.
場所場所で、昔の出来事を語り合い、
愉快でたのしい時間となった.
まちあるきの最終地点であった、手打ち蕎麦
の店 鷹匠さんでは、美味なお蕎麦をいただいた.
それにしても...
路地や寺の抜け道など、知っていた道ばかり
だったせいか、少し物足りなさを感じていた.
それから「物足りなかったのは、場所場所で"ひと"
と交わる機会がなかったから」と数日経って気付いた.
きっとそうなのだ.
ぼくの、このまちの好きなところの大部分は、"ひと"...
そのことに改めて気付けた.よかった.
-----------------------------
07/10sun"はらっぱでアクネノブヤさんと"
今日は、暑い暑い一日でした.
そんな日は、気が付くと三線を弾いています.
紹介が遅くなりましたが、アパートから徒歩1分
のところに、"貸しはらっぱ"があります.
"ギャラリーではできない、新しい表現の場として、皆さんの
アイデアでご活用ください"
と魅力的な場で、よく寄らせていただいています.
今日は、写真市場の日.
午後、写真家のアクネノブヤさんとお話する機会に
恵まれました.
"カメラは首から下げていてはダメ.いつも右手に持つ
ようにする.撮ろうと思った気持ちは一瞬だから"
"カメラはもともと記録するための道具. だけど、それは難しい.
20世紀前後の失われる古きパリのイメージを撮影したことで
知られる写真家アジェ(Jean-Eugène Atget,1857-1927)は、
目覚めの刻にまちを歩き、粘り強くパリの風景を記録し続けた.
他には、ウォーカー・エバンスの記録写真.一度調べてみるといい"
人との出会いを経て、写真の世界が少しずつ広がっていく.
それを、実感する日々であります.
■アジェ・フォト
--------------------------------
06/19sun"本行寺の柏葉あじさい"
日暮里駅の北口改札を抜けて、御殿坂を上ると、
右手に本行寺が迎えてくれる.
緑いっぱいの美しいお寺さん.そのなかで、一段と
目を惹かれてしまったお花があった.
「それは、"柏葉あじさい"っていうんだよ.ほら、
葉っぱがかしわの葉にそっくりだろう.いい色だ.」
寺のお世話係のおばぁが、そう教えてくれた.
言われてから再び葉を眺めると、確かに、かしわの葉が重なる.
ほら. また、かしわ餅が食べたくなってきた.
-------------------------------
06/18Sat"まちとひととが作りだす色気"
夕方雨が降ってきた.
雨が降ると、きまってRe Cafeさんに足が向く.
(ほっと一息ついて、気分を変えたいと思うからなのか...)
"ハーブティお疲れ様ブレンド"と"自家製のケーキ"を
雑誌を片手にいただいた.
隣では、おしゃれなおじさんとその娘さんくらいの歳の
女性が何やら楽しそうにお酒を飲んでいた.
その楽しい空気は周りにこぼれてきて、いつの間にか、
僕も仲間入りして、あれこれ話が盛り上がっていく.
ふたりは町屋の方にお住まいで、谷中にはよく散歩に来る
のだという.僕はすかさず、「谷中のどんなところがいいのか」
尋ねてみる.
「谷中は、自分の家の中にいるみたいでしょ.まちとひととが
作りだす空気感に色気があるんだよ.それは店をやっている
ひとがこのまちで生活してたり、街並を大事に守っているひと
がいるからだろう.」という言葉が返ってきた.
しまいにはおいしいサングリアをごちそうになってしまった.
「またいつかどこかで.」不思議とそんな気持ちになり、
僕はRe Cafeを後にした.
--------------------------------
06/18Sat"良い交換ができるといいですね"
今日はお昼に"筆やさん"の夏野菜たっぷりカレーをいただいた.
何気ない会話から、最近"まちなか交換所"をはじめたことを
話すと、「あら、おもしろいことやっているねぇ」とマスター.
つい調子に乗って、これまでのエピソードを語ってしまった.
帰りがけにいただいた一言.
それはタイトルにしてしまうほど嬉しいものでした.
--------------------------------
06/17Fri"谷中のきつね"ご夫妻
お二人とは、昨年の芸工展で知り合いになった.
"谷中のきつね"ご夫妻は、文字どおり、
谷中のまちをきつねのしっぽをつけてあるいている.
毎週土曜日に電車に乗ってやってくる.
あるときは、道でばったり.
また、あるときはchair-stories shopへ立ち寄ってくれる.
そして、まちなか交換所にすてきな詩(ことば遊び)を届けてくれる.
1)すずめ 鈴集 寿々愛
2)満会の百々の花
3)谷中のきつね ⇒家中喜常(日常の何気ない幸せ)
最近はポストを開けるのがすっかり楽しみになりました.
--------------------------------
05/29Sun"双葉"
今日もたくさんの雨が降った.
雨の日は、洗濯物も外にほせないし、
お店も早く閉まってしまう.
とある用事で訪ねたアジアン雑貨屋フェブさん.
「報告があるわよ」
そういって見せてくれたのは、お店の外にあった鉢.
4月に祖母手づくりのまちの木霊(朝顔の種袋)を
お裾分けしていたのだが、その種から芽が出て、
かわいらしい双葉になっていた.
"双葉"は自然のしずくを身にまとい、なんだかとても
やさしい顔をしていた.
---------------------------------------
05/15Sun"吉崎誠美堂で雑誌谷根千"
団子坂を登って、白山へ向かう途中.
お店の前棚に雑誌谷根千が並んでいるのを見つけた.もしかしたら昔の出来事を聞く機会となるかもしれないと、
おそるおそる戸を開いた.
そのお店は、吉崎誠美堂といって今は閉めているが、
昔は、着物に絵を入れる人達に対して絵の具の顔料を
提供していたという.
「昔、雑誌谷根千をここで販売していたのよ」
家主のおばぁさんは得意になって話す.
僕が興味を示している様子を察されたのか、
「ここに並んでいる号だけだけど、気にいったものがあれば、
100円でも200円でもいいから持っておゆき.読みたい人に
読んでもらいたいから、ここに並べて出してあるの」
僕はそのうち、3冊頂くことにした.
吉崎さんは嬉しそうに見送ってくれた.
--------------------------------
04/17Sun"交換しましょ"
先日、心あたたまる出来事がありました.
団子坂の途中にある"檸檬の実"というお店.
古民家のあたたかさを上手に残したその空間には
おいしさがからだの芯まで届くパンやキッシュたちが並んでいます.
色々とお店のことを教えてもらった代わりに
たまたま持っていた、まちの物語のポストカードをお見せしました.
店主さんはその中から三枚手に取って「いいね、これおいくら?」って聞く.
ぼくは「売っていないんです.よかったら差し上げます」と言う.
すると、店主さんは少し考えて「それじゃあ、わたしのパンと交換しましょ.」と.
そんな調子で僕らはポストカードとパンを交換したのでした.
お店を出たとき、何とも言い表せないやさしさが込み上げてきました.
そうした時間は、思い出す度、心がほくほくになります.
---------------------------------------
04/09Sat"春の明日、描く"
あっという間に4月がきました.
毎年のことですが,年度末は慌ただしくすぎてゆきます.
先日、春を探しに不忍池へいったときのことです.
ところどころに春(桜)は咲いていましたが、
まだこれからといった様子.
写真を撮っても今ひとつでした.
池端には桜の木、後ろにはスカイツリーを眺められる場所に
一人の絵描きさんがいました.
私はそっと絵を覗き込みます.
すると、そこには満開の桜.やさしい絵でした.
実物はまだ一分咲き.この絵描きさんは春の明日を描いていたのです.
「花がないんじゃあ、さみしいかんね」
たとえ事実と違っても、その絵描きさんの眼には
満開の桜がうつっていたのだと、そう思うできごとでした.
---------------------------------------
03/19Sat"カメラ発明の日"
1839年3月19日.
フランス人の写真研究家ルイ・ジャック・マンデ・ダゲールら
の手により、カメラ(銀板写真)は発明された.
いま、カメラはぼくとまちとを結ぶ大切な道具だ.
今日は、ある場所に提出した写真集"Y-7"の紹介文を記したい.
"谷中のまちの何かに惹かれ、ここに住み始める.
その惹かれるものを確かめるため、カメラを手にまちの路地を歩く.
そして、通い合ったものに、私はカメラを向ける.
その正体は、私の心を写しとった何かか.
それとも、被写体そのものが発信してくる詩情なのだろうか.
それを確かめうるのは、ずっと先のことだろう.
私は、それを追いながら、この作業を続けてゆく."
-------------------------------
03/14Mon"ぼくにできること"
平成23年3月11日.
東北地方太平洋沖地震がおこった.
谷中のまちでは、家の一部やお墓が倒れているのを
みかけた.また、これからに備えてか、おにぎりやパン等
の食糧や電池などがまちの店棚からすっかりと消えた.
震源地では余震により、今もなお被害は広がっている.
被害地のことを思うと涙があふれでる.
ぼくはどうしたらいいのかわからずにいたが、
自分自身にできる目の前のことを一つ一つやる.
それしかないのだと思っている.
どうか、お祈りが届きますように.
-----------------------------
03/10Feb"(フェブ)さんのやさしさ"
もう先々週のこと.
僕は丁度よい箱を探し歩いていた.
何軒か店を回ったが中々見つからず、
最後にFebさん(谷中せんべいや裏)を訪れた.
「そうねぇ、今あるのはどうぶつモチーフの革製の
ものだわね」
とても素敵だったが、もう少しシンプルなものを
求めていたことやあれこれ、話をしていると、
「ちょっと待ってて」とFebさんは二階へ上がった.
持ってきて見せてくれたのは、アルミ製の箱、
「前は店においていたけど雰囲気にはあわないから」
と僕に譲ってくれた.
帰りがけ、手作りのショップカードに目がとまる.
アフリカ産の紙に、かわいらしいデザインが映える.
その紙に興味を示した僕に、「よかったら」と紙を譲ってくれた.
谷中のまちでは時々、こういった"やさしさ"にふれることがある.
だから、いつか僕も誰かに、そうできるようになりたいと
自然に思うようになったのだと思う.
-------------------------
03/03"筆やさんにある絵"
とある雨の日.
雑誌谷根千を読んでいたら、"筆や"さんの広告が
目に飛び込んできた.ちょうど昼時でお腹も鳴いていた
ので、傘をさし、店へと向かった.
たどり着いたきっかけをこぼすと、奥さんは嬉しそうに微笑んだ.
「今日はじめてのお客さん.足元悪いのにありがとうね」
そういって、店主の奥さんは、ごはん大盛りにしてくれた.
店内の奥の壁には、恋文入りのやさしい絵がかかっている.
奥さんは、芸術家岡本太郎さんの父、岡本一平さんの作品だと
教えてくれた.
みているこちらのこころがほっとする恋文入りの絵.
近くにいらした際はぜひお寄りください.
----------------------
03/03/"救い"
一昨日、突然の出来事を紹介したところ、
今日、救いの手が...
Yさん本当に感謝しております.
------------------------
03/01tue"突然のこと"
先日、"谷中出来事"を書いていたところ、
いくつかの出来事が空へ旅立ってしまいました.
突然のことで2,3日残念がって立ち止まっていたのですが、
また事が起こり、書きたいことが湧いてくる.
なので進めていきたいと考えています.
それにしても、以前書いたことがよく思い返せません.
気持ちは生き物だなあと感じます.
------------------------
02/25Fri "Re+Cafeでの出会い"
先週、谷中銀座の一本中道にある"Re+Cafe"を訪ねた.
店内はアンティークな家具や洋服がやさしい時を刻む.
他のテーブルでは、客が海外からの仕入れ方法等を
店主に相談していた. 僕はハーブティーを注文した.
"カラン"と戸が開く.「あ、カナブン」と店主が名を呼んだ.
今度店で行われるライブの打ち合わせのようだ.
僕は本を読みながら楽しいリズムの会話に時々おじゃました.
仕事の話から写真や音楽の話に広がり、カナブンと呼ばれた
そのひとは、こんなことを言った.
"写真って好きだな、撮るたび自分が変わってく、
更新されていく感じがする"
撮るたび、自分は更新されていく. きっとそれは真実だ.
だから、今の自分が撮るもの、撮ろうと思ったものも大切に.
例えそれが、下手糞でどうしようもないものであっても...
≪SOUL PARTY≫
カナブンさん*ライブ&土屋萌児さん*切り絵アニメーション
【日時】2011.2.25(Fri)19:00~
【場所】Re+Cafe
【HP】http://blog.livedoor.jp/recafe_yanaka/
----------------------
02/22Tue"つないだもの"
この間の雪が降った翌朝.
道には大方白が広がっていた.
だから駅までの道のりで白と遊んだ.
須藤公園では、しずくがぽたぽた池に
飛び込むたび、水面は静かに揺れていた.
ふと、前をみると、、、
自分より少し年上の女性が楽しそうに作業をしている.
そう、"雪だるま"制作である.
「それ、写真を撮ってもいいですか」と、勇気を出して尋ねた僕.
「こんなでよかったらどうぞ」と、恥ずかしがって答えるその方.
雪だるま-カメラは、そのとき、
確かに何かをつないだ.
-------------------------
02/19sat"ドアノブ-コミュニケーション"
少し前のこと...
同じアパートに住んでいる人に色々世話になった
お礼がしたくて、贈り物を準備した.
渡そうとしていたその日はあいにくの留守.
次はいつ時間を作れるかわからない.
無事届けられるのか不安もあったけれど、
思い切ってドアノブに助けを求めぶらさげておく.
後日、仕事から戻ると今度は、自分の部屋の
ドアノブに贈り物がぶらり.
中には手紙とケーキサクのマドレーヌ.
doorを開けることが務めであるドアノブに
最近はとても親しみを感じるようになった僕.
あたたかい気持ちを運んでくれたドアノブさん.
どうもありがと.
-------------------------
02/17thu"今日で谷中に引っ越して一年"
このアパートと出会って.
芸工展を通してまちの人とつながって.
じいちゃん、ばあちゃん、家族、友人に支えられて.
いま、自分なりの表現を少しずつ深めています.
自分が求めた方向へ物事は動く.
これからの一年はとことん、求め歩きたいと思います.
-------------------------
02/14mon"頂き物の切り絵のカレンダー"
昨年の暮れの事.
天気の良い土曜日.ベランダで洗濯機を回していると、
近所のおばちゃんがやってきて、さっと、カレンダーを
僕に差し出した.
"これ、娘の作品なの. よかったら使って"
あまりにも突然だったので、きちんとお礼もできず2カ月が
経とうとしていた.
そのカレンダーは、切り絵の作品をまとめたもので、
かわいらしい動物の絵をモチーフとした癒しのカレンダーだ.
お礼をしたいけれど、きちんと名前を知っている訳でなく、
どこを訪ねればよいのかわからず、偶然の再会を待った.
そして、つい先日、その時は訪れた.
朝、ごみ出し場にその方らしき人.僕は声をかけてみる.
"暮れにカレンダー頂きました.その節は有難うございました"
そう伝えると、その方は、嬉しそうに笑った.
"あのカレンダー、本当は切り絵になってるの.よかったら、
実物がちょうど玄関にあるから見にいらっしゃい.来て."
と言いながら走った.後に続くと、母の誕生日を祝う作品が
あたたかい光で包まれていた.
その切り絵作家 森田さんの活躍は、後にホームページで知った.
こういった不思議な縁が、このまちではときどき現れる.
それをどこまで大事にできるか.それは大きく人生を変えうると僕は思う.
■切り絵イラストレーター:森田直子さん
HP:http://homepage3.nifty.com/naonao-net/
-------------------------
02/11fri "大圓寺の渡辺さん"
雪に連れられ、まちへ出る.
普段は入らないお寺さんに挨拶へ.
いくらか寺を訪ね、最後に"菊まつり"で知られる
大圓寺へ足を向けた.
入ったのは初めてで、ついつい奥の方へ進むと...
「その先はご遠慮願います」と優しい声が聞こえた.
もう10数年管理人をつとめる渡辺さんは、僕が煉瓦塀に
興味を持っていることを話すと、事務所へ案内してくれた.
ごそごそと箱の中から取りだされたのは、"雑誌 谷根千".
渡辺さんは自慢げに「煉瓦特集の号がある」とみせてくれた.
それから...話は膨らみ、10年程前、ある写真家が訪ねて来た
ときの話をしてくれた.その写真家は渡辺さんを寺のあちこちで
撮影し、「いい、いいのが撮れた」と言っていたそうだ.
その写真家の名は、"荒木経惟(愛称アラーキー)".
それはやがて「人町」という写真集の1ページを飾った.
-------------------------
02/01mon"あこがれの美容室へ"
2年と半年前.はじめて谷中を訪れたときに出会った
お洒落な美容室."いつか谷中に住む機会があったら
いこう"と心に決めていた.
そして先日、ついにその戸を開いた.
"サユリ美容室"は、昭和の面影を残し、懐かしい風、
あたたかい陽気が感じられる場所.一軒家の軒先を
通るときには、赤鯉と目があう.
しかしはじめて尋ねるのはどうも勇気がいる訳だが.
美容師のおばちゃんは快く受け入れてくれた.
丁寧にカットしてくれたし、様々なまちの話が飛び出した.
帰りがけ、入口にアップライトピアノ♪があることに気づく.
その様子をみて"よかったら弾いていき."とおばちゃんは
優しく添えた.
また、あの場所へ行ってしまうと思う.
懐しいと風とあたたかい陽気を求めて...
■サユリ美容室 (tel:03-3821-4124)
address:荒川区西日暮里3-10-3
cut:3,500yen
-------------------------
初音湯さんをもう一度みたくなって、古書 信天翁さんへ
足を運んだ.谷中七福神を一緒にめぐったひとが、
「あそこの天井は本当に素晴らしかった」と話していたのを
思い出したから. 天井はやっぱり素敵だった.
"中平卓馬"さんの写真集を探していることを店主に打ち明けた.
すると、少し前まであったが売れた、と.
それでも昭和51年2月に発行された雑誌"アサヒカメラ"で
中平さんが奄美を撮ったものがある、とみつけてきてくれた.
ページを開いた時、何と表現したらいいかわからない感情が
あふれた.
その雑誌をぼくは買うことにした.偶然の出合いを大切に
したかったから.そうこうしている間に、今ちょうど中平さん
の写真展が開催されていることを教えてもらった.
偶然が偶然を呼ぶ.
そんな奇跡のような流れが起こったとき、たまらなく嬉しい.
そんな流れが起こる場所が近くにあることが嬉しい.
それらすべての偶然を、ぼくは必然と信じることにしている.
■中平卓馬写真展 「Documentary」
【会期】2011.1.8(sat)- 2.27(sun)
11:00 - 19:00
【場所】BLD GALLERY
【休廊】会期中無休
-------------------------
01/09sun."谷中七福神めぐり"
今日は一日"谷中七福神"をめぐりました.
谷中銀座商店会企画の参加者だけでも300人を超え、
その他にも、様々な団体がめぐりにきていました.
どこのお寺にいってもお賽銭に長蛇の列...
それぞれにお寺は、広さも様相も異なり、成り立ちについて
知っていたらより気づきある七福神になったなぁと感じました.
一人で参加したので、たまたま同じ時間に集った人
(谷中住歴30年近く)と一緒にめぐらせていただきました.
「このまちもずいぶん変わった...」という言葉を口火に、
昔の谷中をたくさん教わりました.
自分も知っている事柄を紹介したりと、
お互いの谷中を交換する楽しい時間となりました.
その楽しい時間は、どちらも谷中が好きだから成り立ったのだ、と今思い返しています.またどこかでお会いできることを楽しみにしつつ...
-------------------------
01/08sat."新年の挨拶"
年賀状をいただいたみなさま.
どうもありがとうございます.
本年もよろしくお願いいたします.
今日、友人が自分の年賀状(アパート前の写真)
を頼りに、谷中へ遊びにきてくれました.
「年賀状に書いてあったブログをみたら
今日shopをやるって載っていたから・・・
年賀状を出すかわりに、新年の挨拶にきたんだ」
と、家の前から電話をいただきました.
そんなこと想定もしていなかったので、
とても驚きました.
遥々、茅ヶ崎の地から、はじめての谷中へ.
学生時代のアルバイトを卒業して以来、
何年ぶりかの再会.
年賀状が普及するずぅっと前は、新年に
なると、ご近所に挨拶にまわったと、ばぁちゃんから聞いたことがある.
それが時間を経て(時代が変わって)、
顔と顔とをあわせた挨拶から年賀状のやり取りに
なった.もちろん、年賀状のやり取りは楽しい.
でも、決まった文句だけではちょっぴり寂しい.
年賀状の本来の意味を捉え直した今日でした.
12/30thu."正月飾り"
皆さんは正月飾りの準備は終わりましたか.
先日、谷中 松野屋さんで正月飾りについて
お話を伺う機会がありました.
"29日に飾るのは、9が"苦"に通じ縁起が悪い"
"31日に飾るのは、一夜飾りといって神様に失礼なんだ"
"鏡餅がまるいのは、角が立たないようにってことだよ"
"・・・・・・・・" 他にも沢山の話題が出ました.
正月が過ぎた頃に取り外されていた、お飾り.
一つ一つに意味があることを知って、初めて飾りの
面白さを知ったひとときとなりました.
そして今日、我がアパートにも、しめ縄の飾りをつけました.
"笑う門には福来たる"
来年も皆様にとってよい一年でありますように.
-------------------------
12/25sat."初音湯さんありがとう"
古書信天翁さんで開催中の
"初音湯写真展"を覗いてきました.
谷中で創業80周年の銭湯."初音湯"さん
事情により幕を下ろされてから
改めて写真でその姿を振り返る 脱衣所や風呂場.どちらも綺麗で驚きました.
いつも丹念に手入れされてきた初音湯さんの
心入れが静かに伝わり、じんわりあたたかな
気持ちになったのでした.
〈初音湯写真展〉
期間:12/16~1/16まで
場所:古書信天翁
紹介:古書信天翁の日誌
-------------------------
12/25sat. "今年一年の感謝を込めて"
中華定食屋「深圳(シンセン)」さんでの晩御飯.
"今年一年の感謝を込めて"と
いつもは味わえないメニューがずらり...
そのうち"魚飯"をいただきました.
以前は普段から"魚飯"があったそうですが、
お得意の魚屋の担当さんが代わって以来
しまいにしてしまったそうだ.
"前の担当さんはよく店に来て仕入れの具合をみて
必要な分だけ売ってくれていたけれど、
代わってからは売りたいだけになってしまったからね"
"心で仕事をする"ってこういうことだなと感じたお話
聞けてよかった.そして一年間お世話になりました.
料理も芸術作品であると感動したお店.
来年もすっかりお世話になる気でいます.